緊急避妊法(EC)
緊急避妊とは、コンドームや膣外射精妊に失敗した場合、性的暴行を受け妊娠する恐れのある場合、ピルの飲み忘れ・飲み間違いで避妊効果が失われている場合などに、お薬を使って妊娠を予防することです。今までは中用量や低用量ピルを転用して緊急避妊が行われていましたが、副作用が強く効果も必ずしも十分ではありませんでした。すでに諸外国では緊急避妊薬がふつうに使われていますが、2011年5月、緊急避妊に限って特別に使用するお薬が日本でも発売になりました(^^)。ただし、緊急避妊の成功率は80%前後です。低用量ピルの成功率99.9%には、はるかに及びませんので、この点はよろしくご理解ください。
画像 | 値段 (内税) |
説明 |
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ノルレボ1.5mg
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1回1錠内服
15,000円 |
特殊な黄体ホルモンを使用することで、排卵を遅らせ妊娠を防止すると期待されています。すでに排卵してしまったケースや、緊急避妊後にセックスを繰り返したケースでは、遅れて排卵するために、薬を使っても妊娠してしまう可能性が指摘されています。 |
レボノルゲストレル1.5mg
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あすか製薬のノルレボ錠と全く同じ成分のお薬です。 | |
エラ
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1回1錠内服
12,000円 |
海外から輸入した緊急避妊薬で、トルコのABDI IBRAHIM社が造りました。特殊な黄体ホルモンを含み、セックス後120時間(5日)以内 に内服します。
セックス後に時間がたってしまったケースでも使用可能です。主な副作用は吐き気で、吐き気止めと併用可能です。すでに排卵してしまったケースや、緊急避妊後にセックスを繰り返したケースでは、遅れて排卵するために、薬を使っても妊娠してしまう可能性が指摘されています。 |
排卵時期にセックスした場合、セックス後72時間以内にノルレボまたはレボノルゲストレルを1錠一度に内服します。副作用として、吐き気・嘔吐がおこる場合がありますが、数時間以内に治まりますから心配は無用です。この後1週間前後で生理が来れば成功です。それまで、セックスは禁止です。
エラは、セックス後120時間以内に1錠一度に内服します。頭痛・吐気・めまいなどが起こる場合がありますが、軽度のことが多く心配無用です。生理は通常通り来るか、少し遅れてきます。
今後のことを考え、確実に避妊したい場合は、低用量ピルまたはミニピル(Azalia)をお勧めします。
低用量ピル・ミニピルのページを参考にしてください。
いつまで待っても生理が来ない場合には、セックス後3週間くらいをめどに、妊娠テストで自己チェックを行ってください。
妊娠してしまった場合は、選択肢は二つしかありません。
妊娠継続・分娩を希望される場合、ノルレボ(緊急避妊薬)は胎児に奇形をおこしたり、妊娠経過に悪影響を及ぼすことはないとされています。どうぞご安心ください。
いろいろな事情から、やむなく中絶手術を希望される場合は、人工妊娠中絶手術のページを参考にしてください。
項目 | エラ(ウリプリスタル酢酸エステル) | レボノルゲストレル |
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イメージ | ||
分類 | 選択的プロゲステロン受容体調節薬(SPRM) | 合成プロゲステロン(第二世代黄体ホルモン) |
主な用途 | 緊急避妊 | |
避妊のタイミング | 性交後5日(120時間)以内 | 性交後3日(72時間)以内 |
排卵抑制の効果 | 排卵を強力に抑制し、卵胞の発育を妨げる | 排卵を抑制するが、ウリプリスタルほど強力ではない |
服用後の消退出血までの日数 | 通常、月経が1週間以上遅れる可能性がある | 3〜7日以内に消退出血が起こることが多い |
月経への影響 | 月経が1週間以上遅れる場合がある | 月経が通常より遅れることがあるが、エラほど遅延しにくい |
避妊効果 | 排卵直前でも効果が高い | 排卵がすでに起こっている場合には効果が低い |
副作用 | 頭痛、吐き気、月経の遅れ、不正出血など | 頭痛、吐き気、疲労感、不正出血など |
妊娠率 | 性交後の時間にかかわらず高い避妊効果が期待できる | 排卵後は効果が大きく減少する |
市販状況 | 処方箋が必要 | 処方箋なしで入手できる場合もある(国による) |
作用時間 | 120時間(5日間)まで使用可能 | 72時間(3日間)まで使用可能 |
推奨される使用頻度 | 緊急避妊薬として、繰り返しの使用は推奨されない | 繰り返しの使用は推奨されないが、使用は可能 |
厚生労働省による国内承認 | 未承認 | 承認 |
緊急避妊薬を繰り返し使うと、何度も生理を早めにおこす結果となり貧血におちいりやすくなります。身体への負担を考えると、安易に繰り返し使うことは避けるべきです。成功率80%は、逆に言うと20%は失敗するということです。何もしないよりはましですが、絶対に妊娠しない!と保証している訳ではありませんので、この点をよく理解したうえで、使用するかどうか決めることが重要です。緊急避妊薬はセックス後72時間または120時間以内に使用しなければならず、仕事や学校などの関係ですぐに産婦人科を受診できない場合や、夜間・祝日など医療機関がお休みの場合は、せっかくの緊急避妊薬を手に入れることができません。また、医療機関も救急患者の対応で忙しいと、緊急避妊を希望される女性に、適切な対応が難しい場合があります。2023年11月から、緊急避妊薬は、一部の調剤薬局で試験的に医師の処方箋なしで販売されていますが、参加する薬局が少なく手に入りにくいのが現実です。
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緊急避妊に成功して生理が来たら、生理の1日目から低用量ピル(アンジュ28)またはミニピル(Azalia)をスタートすることをお勧めします。特に、Azalia(ミニピル)は、クイックスタートが可能で、Ella(緊急避妊薬)を内服した翌日から内服をスタートすることも可能です。Ellaは、選択的プロゲステロン受容体抑制薬(SPRM)といって、人工妊娠中絶薬のメフィーゴパックの1剤目=ミフェプリストンと同じグループのお薬です。強力な黄体ホルモン(プロゲステロン)抑制効果から、排卵を抑制するだけなく、受精卵の着床を予防する働きもあります。Ellaによる緊急避妊は、数ある緊急避妊方法の中で、最も効果が高いと言われています。
当然のことですが、緊急避妊薬は、服用が早いほど効果が高い!
そこで、当院では、緊急避妊薬の予防処方(オンライン処方)を行うことにしました。あらかじめ緊急避妊薬の予防処方を受けていれば、いざという時にあわてる必要はありません(^^)。電子メールでセックスの状況をお知らせいただければ、本当に緊急避妊が必要かどうか院長がメールでアドバイスします。ただし、セックス後に緊急避妊薬を処方するのは、対面処方のみです。セックス後に緊急避妊を希望される場合、オンライン処方では郵送に時間がかかって間に合いません!(^^;)また、電子カルテで薬の使用状況を管理しますから、同一女性が繰り返し使用される場合には、オンライン処方をお断りすることがあります。