男から女になりたい場合(MTF:Male to Female)

注射・薬剤画像 薬品名 製薬会社 使用量 料金
(内税)
概要
プロギノンデポー
10mg×2
富士製薬 1ml×2=2ml 2,500円 女性ホルモン治療の最初に使います。
2週間おきに注射するのが一般的です。
この後、2週間おきに通院するか、自己注射を習ってオンライン処方にするか、どちらでも選択可能です。
次のプレマリン(内服薬)と併用もできます。
プレマリン
0.625mg
ファイザー 1日4錠 1,000円 女性ホルモン治療の代表的治療薬(エストロゲン製剤)です。
1日4錠(朝・昼・夕・寝る前に各1錠)が標準的使用量です。
2シート(28錠)=1週間分で、1,000円(内税)です。
プロセキソール
0.5mg
あすか製薬 1日1錠 プレマリンが副作用で使用できない、効果が上がらないときの代替薬です。
1日1〜2錠が標準的使用量です。
使いすぎると肝機能障害や血栓症のリスクが上がり、注意が必要です。
1錠100円(内税)です。
プロゲストン
5mg
持田製薬 500円 黄体ホルモン製剤です。
基本的に使用しないが、希望者には処方しています。
1日1錠が標準的使用量です。
使いすぎると肝機能障害や血栓症のリスクが上がり、注意が必要です。
1錠50円(内税)です。
プロべラ
2.5mg
ファイザー
スピロノラクトン
50mg
陽進堂 1,000円 アルドステロンというホルモンの働きを抑制して血圧を下げる薬ですが、抗男性ホルモン作用があり、MTFでは乳腺の発育を目的に使用します。
1錠100円(内税)です。

女性ホルモンを注射すると、これだけで血中の男性ホルモン値が低下します。GnRHアナログや抗アンドロゲン製剤は不要です。また、黄体ホルモン剤も基本的に使いません。エストロゲン製剤だけで乳輪や乳首は大きくなり、次第に乳腺も発達し皮下脂肪も沈着して女性らしい体型となりますますが、結果には大きな個人差があります。数年治療しても満足のいく結果が得られない場合は、美容外科で豊胸手術を受ける場合もあります。
睾丸はかなり萎縮するケースがありますが、陰茎が萎縮することはなく、最終的に外科手術を希望される場合は他の医療機関を受診する必要があります。手術後も、女性らしい体型を維持するためには女性ホルモンを補充する必要があります。
血液検査では軽い貧血になりますが、総コレステロールや尿酸が低下しHDLコレステロールが増加するなど、健康に良い影響を及ぼす効果もあります。もともと男性が乳癌になることは非常にまれですが、女性ホルモン剤の投与を受けている患者さんでは定期的に乳がん検診を受けておくと良いでしょう。

女から男になりたい場合(FTM:Female to Male)

薬品画像 薬品名 製薬会社 使用量 料金
(1回・内税)
概要
エナルモンデポー250mg
(テストステロンエナント酸エステル)
あすか製薬(日本製) 1ml/回 2,200円 男性ホルモン治療の最初に使います。
2週間おきに3回注射すると生理が止まります。
この後、2週間おきに通院するか、自己注射を習ってオンライン処方にするか、どちらでも選択可能です。
遠方の方は、1回に2アンプル注射して、4週間に1回の通院も可能です。
ネビド1,000mg
(テストステロンウンデカン酸エステル)
バイエル
(ドイツ製)
4ml/回 33,000円 長時間作用型の男性ホルモン注射薬です。海外から輸入しました。
1回の注射で約3か月間(12週間)効果が持続します。
自己注射がうまく出来ない人や、エナルモンデポーやテストビロンで効果を感じられない人にお勧めします。
料金が高いので、毎月1万円(内税)×3か月の分割・銀行振込払いも可能です。
リアンドロン1,000mg
(テストステロンウンデカン酸エステル)
コロナの影響でネビドが輸入できなくなったため、2022年2月にオーストラリアから取り寄せました。
今のところネビド再入荷のめどがたたず、当分の間この薬で男性ホルモン治療を継続します。
エナルモンデポー125mg
(テストステロンエナント酸エステル)
あすか製薬(日本製) 1ml/回 1,600円 性別適合手術後にお勧めしています。
男性ホルモン注射は健康によくないため、注射の量を減らすことをお勧めしています。
完全にやめると「脱男性化」するため、必要最小限の注射を50~60才頃まで継続すると良いでしょう。
スピロノラクトン
50mg
陽進堂 1日1錠 1,000円 アルドステロンというホルモンの働きを抑制して血圧を下げる薬ですが、抗男性ホルモン作用があり、MTFでは乳腺の発育を目的に使用します。
1錠100円(内税)です。

男性ホルモンを注射すると、生理が止まります(無月経)が、更年期障害のような女性ホルモンの欠落症状(のぼせ・ほてり・発汗など)が出ることはありません。乳腺や子宮・卵巣が萎縮することはなく、最終的に外科的手術を希望される場合は他の医療機関を受診する必要があります。手術後も、男性らしい体型を維持するためには男性ホルモンを補充する必要があります。
治療を続けると男性ホルモンの作用で筋肉が発達し、あごひげや体毛が濃くなって次第に男性らしい体型となります。血液検査では副作用として肝機能障害などの可能性が指摘されていますが、実際にはあまり心配ありません。これは、内服のホルモン剤では全て一度肝臓を経由して体の各組織に到達するのに対して、注射のホルモン剤では肝臓を経由せずに到達するためと考えられます。

ホルモン治療のまとめ

治療薬 男から女へ(MTF) 女から男へ(FTM)
注射薬(筋肉注射) プロギノンデポー10mg
プロギノンデポー20mg
エナルモンデポー125mg
エナルモンデポー250mg
ネビド1,000mg
内服薬 プレマリン(0.625)
プロゲストン
プロベラ
中用量ピルなど
エナルモン錠は、製薬会社の都合で製造中止となりました。
外用薬 ル・エストロジェル
エストラーナなど
なし

自己注射とオンライン処方

GIDのホルモン治療は、一生続くかもしれません。当院では、通院の負担を減らすため、希望者には男性ホルモンまたは女性ホルモンの自己注射を、ご指導しています。
また、ご家族や友人で医療関係者のかたがあり、ボランテイアで筋肉注射をしてくれる人が周りにおいでになる場合は、注射器・ホルモン剤のアンプルなどをセットにして10回分ずつ処方することもできます。
ただし、注射器やアンプルは医療廃棄物ですから、家庭ごみとして捨ててはいけません。受診の際にお持ちいただくか郵送していただければ、宮川クリニックで責任を持って廃棄しますのでよろしくお願いします。
遠方の方には、オンライン処方も行なっています。一度直接受診していただければ、2回目以降は、お薬をオンライン処方してもらってホルモン治療を継続することができます。

女性ホルモン注射 プロギノンデポー20mg・10回分=2,500円×10=25,000円
1回あたりオンライン処方料(銀行振込)=2,000円
合計:27,000円(内税)
男性ホルモン注射 エナルモンデポー250mg・10回分=2,200円×10=22,000円
1回あたりオンライン処方料(銀行振込)=2,000円
合計:24,000円(内税)
衛生材料 消毒用エタノールや綿花は、お近くの薬局で購入してください。
なお、直接受診された方には、使い捨ての消毒用エタノール紙を同時に処方することもできます(1枚=10円)。

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